【ゴーゴーバー暫しのお別れ】

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帰国便は翌日の早朝なので今日がこの旅の最終日だ。昨日と同様にダメもとでTちゃんの家にお邪魔できないか言ってみた。図々しいとは思ったが、普段どのような生活をしているのか知りたかったからだ。連日お願いしたのが効いたのか彼女は家に電話し始め、ひとしきり話した後、OKが出たとのこと。Tちゃんは家族と暮らしており、祖父と母親と姉とその子供と住んでいるらしい。ただ、汚いし何も無いとTちゃんはしきりに念を押してくる。サラデーン駅近くでタクシーを捕まえ、南に向かって走り出した。すると、20分ほどで早くも到着した。

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タクシーを降りると色々な人がTちゃんに話しかけてきた。間違いなく彼女の地元だ。慣れた様子で食堂で何かを注文している。そして、この食堂のすぐ横がTちゃんの実家だった。細長い2階建ての長屋で、1階は仕切りがない大きなスペース、2階はそれぞれの部屋があるとのこと。姉の子供は中学生ぐらいで覚えたばかりと思われる英語で懸命に話してくる。天真爛漫な雰囲気でかわいい。将来は美人になるに違いない。じきに食堂から注文していた食べ物が届いた。あんかけ焼きそばだ。酸味のあるあんがマッチしていて非常に美味しかった。しばらくTちゃんの実家で過ごした後、タクシーで近くの大きなモールに向かった。ここでカンフーもののタイ映画を観たが、酷かった。タイ映画にこんなシリアスな内容のものがあるのかと感心したまでは良かったが、退屈でほとんど寝ていた。Tちゃんも詰まらなかったと言っていたからタイ人にも不評な映画なのだろう。近くのローカル食堂でシーフードを食べることに。値段は安いが味は良かった。たくさんの家族客が来ていて夕方ともなると席は埋まっていた。地元の家族や仲間内が週末に出かけて食事するような場所なのだろう。面白いのが夕方になると、各社ビールブランドのチューブをまとったビアガールが数人登場すること。厚化粧で素材はそれほどでもないが、コスチュームとビアガールというだけで、やたら可愛く、そしてやたらセクシーに見えてくる。

いったん小生のホテルに一緒に戻った。部屋でTちゃんは険しい表情で「不思議なものを見た」と言った。指差し会話帳で彼女の言いたいことをなんとか理解した。どうやら姪っ子の中学生の女の子がとてもかわいいと小生が言い、Tちゃんとのやりとりで「姪っ子の方が良い?」と聞かれたのを冗談で「そうだね」と答えたのを本気にしたらしく、ずっと気にしていたようだった。「そんな人とはもう会えない、もう最後だ」と言う。どちらにしろTちゃんと会うのはこれが最後だろうからそのままにしておいても構わなかったのだが、日本人が変態と思われるのも不本意だ。冗談であること説明すると彼女の疑念は解消されたようだった。しかし、冗談が通じないタイ人だ。

今夜は最後の夜である。ほかのゴーゴーバーを探検するのも良い。しかし、Tちゃんがいるといまいち楽しめない。小生は「気分を乗らないから今夜はもうゴーゴーバーには行かない、Tちゃんは出勤すると良いよ」と言ったが彼女は了承しなかった。今夜は欠勤すると言い始める。21時になっても出勤しない。小生は諦めて彼女の店に同伴出勤した。入店前に1日2000Bとして3日分の6000Bを渡した。一瞬彼女の顔が曇ったような気がした。もっと高額を期待していたのかもしれない。この旅が終わればしばらくゴーゴーはお預けだ。最後の夜のゴーゴーを楽しんで12時ごろ店を出た。朝が早いからペイバーはしないと告げるとなんと自分でペイバー代を払って一緒にホテルへ戻った。3時間ほど寝て起床。タクシーを捕まえて、Tちゃんとハグしてから一人で乗り込んだ。あっさりした最後だった。Tちゃん、今までありがとう。前回と違って今回は落ち着いた気持ち、かつ切ない気分でタイを後にした。

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