次の日も朝起きて、Zちゃんと一緒に買出しに行った。ごく近所の民家に併設された商店で野菜やら肉やらミルクなどを買った。家に戻ると彼女と母親たちは料理を始めた。また、たくさんの料理が並び、それを大勢で囲んで食事をした。午後には空港へ向かい飛行機でパタヤへ帰るから実家での最後の食事だ。やっぱり大勢で食事をするのは単純に楽しい。しかも、どれも美味しく、ご飯の盛り方が豪快で小生は毎回食べ過ぎである。Zちゃんがパーラーに行きたいと言うので一緒に付いて行くことにした。小生はパーラーで洗髪をしてもらい、Zちゃんは洗髪と髪の手入れをしてもらったようだった。
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おばさんらが糸を用意して一定間隔で切り始めた。そして、Zちゃんと小生を並んで座らせると手を差し出すよう言われた。手のひらを上にして手を差し出すと、おじいさんが糸を持ってしばらく祈ってから手首に糸をくくりつけた。おじいさんは次に同じように神妙に祈ってからZちゃんの手首に糸をくくりつけた。そして、そこにいた数十人全員が次々と祈ってから手首に糸を結んでいく。小生は何が起きているのか分からなかった。Zちゃんの母親が涙を流しているのを見て、何か重大な儀式が執り行われているのではないかと鼓動が早くなった。全員が結び終わり、白や黄色の糸が手首に多数まかれている。ミサンガのようなものだろうか。3日間は取ってはいけないとのことだった。重大な意味があるのではないかと思い、後からZちゃんに聞くと幸運をもたらすおまじないと言う。
子供の世話に4000Bあげるから、母親に渡す分の4000Bは小生から出してとZちゃんに言われた。もちろん笑顔でOKと答えた。そのあたりのやりとりから既にZちゃんの夫であるかのような錯覚を一瞬覚えた。昼過ぎに空港に向けて出発した。結局、親族や友人らがみんな付いてきて、大勢に見送られて空港に入った。
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イサーンの物価は安いが何をするにもどこへ行くにも大人数なので結局高くつき、そしてお金は持っている人が出す。要するにフィリピン式と全く同じである。フィリピン式を知る小生にとって、全く同じスタイルであることにすぐに気付いた。あとはそのスタイルを実践するだけである。具体的には、たくさんの円を両替して財布ごと彼女に渡してしまうか、全てイエスと笑顔で答えて気持ちよく金を出すことである。そうすれば、彼女の家族に良くしてくれる貴方に彼女はココロを開いてくれるだろう。ただ、ゴーゴーで働く弊害で、Zちゃんの金の使いっぷりは非常に良かった。役所でもスタッフに景気良くチップをあげるほどである。小生がバーツに両替した総額から、軽くなった財布に残った金額を引くと、3日間のイサーン滞在で放出したお金は16000バーツだった。往復の航空券分を足すとイサーン費用は24000バーツだった。
また、イサーン滞在で感じたこと。それは、フィリピンとキーワードは全く同じで、何より家族、音楽と踊り、そして男は酒だった。
Zちゃんの体型はけっこうぽっちゃりしている。巨乳で太目だが、身長があって手足はすらっとしているので、あまり太った感じはしない。それに、ファッションがとても良い。体の線は見えないけど短パンで手足の露出が多くてセクシーだ。ただ、もともとふくよかな方だったが、3月に会った時より太った気がした。今回彼女と一緒に数日過ごして、その理由が分かった。実家では絶えず何かしら「食べて食べて」と勧めてくれ、小生はお腹が空く瞬間がないほどだった。彼女はパタヤにいる時も実家にいる時も、ドリアンや色んなフルーツやスナックなどなどいつも何か食べてるし、食事の時もけっこうたくさん食べてる。母親の手料理が美味しくて堪らないようで実家では食事を存分に楽しんだようだった。ぽっちゃりしててもZちゃんは最高に可愛いと連呼しまくっていた小生。彼女が太った原因の一端は小生にあるのかもしれないと責任を少し感じた。エアアジアのカウンターでバンコク行きをチェックインする際、Zちゃんがスタッフから「妊娠されていますか?」と聞かれていたのには笑ってしまった。
わずか数日間だったが、彼女とずっと一緒に過ごし、一緒に田舎へ行き、彼女の家族に会い、彼女とたくさん話し、以前よりずっと深く彼女を知ることができた。スワンナプーム空港からパタヤに向かうタクシーでもずっと話をした。そして、ついに核心に触れた。その時、真実はどうか分からないが、失礼ながら小生は、彼女と彼女の家族と彼女の子供を愛する男であれば彼女はわりと許容できるのではないかと思っていた。「たくさんの男が貴方のことを好きだと思う。なぜ自分?」と小生を実家へ連れて行ってくれた理由を聞いた。彼女のペイバーの頻度からすると彼女に好意を寄せている男はたくさんいると思った。+86からの着信を見かけたから中国人のカスタマーもいるようだった。小生のように、彼女のあどけない可愛さと家庭的な面倒見の良さとおっとりした性格にココロを奪われた男はたくさんいるに違いない。彼女は「たしかに色んな男から求婚されたり、」そして一緒に田舎に行きたがる人はそういないと言っていたが「お客から一緒に田舎に行きたいと言われている」と告白した。「なんで貴方を選んだか良く分からない。でも、その人はお客としてしか考えられない」と彼女は言った。小生自身どんな答えを期待していたのか分からないが、「良く分からない」という言葉に少し寂しさを覚えた。小生はそんなつもりはなかったが、彼女を巡るレースに参加していたようだった。「泣くのはダメよ。私は頼れる人が好き」と彼女は言った。彼女の実家で夜、川の字になって話をしたとき、彼女の話にショックを受け、自分の無力さに思わず涙ぐんでしまった。そのことをダメ出しされてしまった。「私をしっかり守ってくれる人が好き。だから、貴方もそんな人になって。」と言った。残念ながら、小生は子供っぽくてマイペースで無責任な男である。そういえば、昔付き合ったピーナちゃんにも同じことを言われたことを思い出した。彼女は「そして」と言って、薬指に指輪をはめる仕草をした。結婚を意味する仕草に、小生は驚きと動揺で「本当に!?」と言うのが精一杯だった。さらに「なんで女の私からこんなこと言わせるの!?」と怒られてしまった。
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