【爆走迷走録・華(クリスティとフィリピンパブはサイパンの華)】

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チェリーはフィリピンにいたときはバンドのシンガーをやっていたようで、歌の上手いフィリピーナたちの中でも彼女の歌は特に上手かった。そんなチェリーはフィリピンパブのショータイムでシンガーとしてステージで歌を披露していた。小生がフィリピンパブに通うようになった2005年はフィリピン人への興行ビザ発給が急に厳しくなり、最後のタレントたちが来日していた時期だった。それまで大挙として来日していたフィリピン人が、アメリカ様の指摘のせいで情けない日本政府が手のひらを返して興行ビザの発給を絞ってしまった頃だ。日本のフィリピンパブが衰退を始める時代の直前だったため、小生の住む歓楽街もフィリピンパブ群雄割拠の様相だった。数え切れないほどのフィリピンパブが乱立していた。

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小生はチェリーのお店以外にも浮気心と冒険心を原動力にいくつものフィリピンパブを開拓していった。すると、サイパンの『MICRONESIA(ミクロネシア)』で味わった衝撃のショーに匹敵するものは、国内のフィリピンパブにはないことが分かった。国内のフィリピンパブのショーは歌の上手い子に歌わせたり、選抜メンバもしくは在籍ピーナ全員でダンスをするもので、はっきり言うとオマケみたいなものだった。『MICRONESIA(ミクロネシア)』のようなショーにかける意気込みというものは感じられなかった。

我を失ったようにフィリピンパブを徘徊していた小生だが、サイパンのクリスティとの連絡は欠かさなかった。クリスティのお店はお客が少なく暇なようで、いつも甘い声で「おいでおいで」と誘われるたびに大きく心が揺さぶられた。いますぐサイパンに飛んで行きたい気分だが、遠いうえにフィリピン祭り症候群に発症していた小生は金も時間も精神的余裕も全くなかった。それでも2005年9月上旬に友人2人を誘って11月中旬のサイパン旅行計画を手配済みだった。クリスティに拠れば11月いっぱいでサイパンでの仕事を終えてフィリピンに戻るという話だった。彼女のフィリピン帰国までにサイパンで再会を果たすつもりである。

しかし、クリスティに電話をした10月中旬のある日、フィリピン帰国が早まったと彼女が言う。聞くたびに帰国スケジュールが違う気がするが、小生が11月中旬にサイパンへ訪れる頃にはもうクリスティはいないようだ。帰国が早まった理由を聞くと、早ければ2005年12月に来日できる可能性があるとのこと。しかし、日本政府による興行ビザの発給は非常に厳しくなっており、にわかに信じられなかった。とにかく、サイパンでクリスティに会うには10月のうちに訪問する必要があった。すぐさま航空券の手配をして、10月下旬に2泊3日の日程でサイパンを訪問することにした。宿はすっかり定宿となった格安ホテルの「Capital Hotel」を予約した。

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何度か目撃した天国だ。暗闇のなか派手なライトアップがきらめき、大音量の音楽に合わせて、同じ背格好で同じ長髪をした人影が十名ほど現れる。天国の幕開けだ。その人影たちの美しくも官能的な動きから恍惚としてくる。同じ人影がいくつも見えるのは幻覚なんだろうか…。もう脳ミソは機能していない。クリスティのお店のショータイムが始まった。20歳前後の選りすぐりの可愛くてスタイルの良いピーナ達。そのピーナ達のダンスからショーにかける意気込みが伝わってきた。ルーティンの動きは印象的でよく揃っているし、選曲も特徴的で良い。健康美溢れる彼女達による踊りがとにかく美しい。自然と鳥肌が立った。大好きなピーナ達が華やかに舞う光景を目の当たりにして恍惚の極致である。

夜は『MICRONESIA(ミクロネシア)』でクリスティと数時間過ごしショーとカラオケとビールを楽しみ、昼間はクリスティとランチをしたりホテルの部屋で過ごした。ただし、当然クリスティは妹分のロビーちゃんを付き添いとして連れてくるのでランチもホテルの部屋でも一緒である。それでも手ごたえはあった。チェリーと同じようにクリスティが小生を噛むようになった。これはフィリピーナ特有の愛情表現だ。

たまにしか会えないクリスティ。しかし、会えばそれだけ仲は深まるし、どんな性格なのか分かってくるし、意外な一面も見ることができた。やはり同じフィリピーナでも人によって性格が随分違う。チェリーは驚くほど情熱的でストレートな意思表示だが、クリスティはチェリーほどはっきり表現しないためいまいち何を考えているか掴みづらい。ただし、クリスティはプライドが高く、彼女のことを信じていない言動が見られようものならすぐご立腹だ。興味本位でも疑っているような質問はNGである。一方でクリスティは恋愛にウブなようで押しても手応えが少ない。すごくシャイな娘なので恥ずかしがっているようにも見える。しかし、プライドは高いのでそう思われるのを嫌っているようだ。まれにクリスティから熱烈なキスをしてくる意外な一面もあって、フィリピーナらしい情熱的なところも持ち合わせていた。クリスティとの進展を実感し、幸せ絶頂のサイパン旅行となった。が、クリスティと会うのはこれが最後になった。

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