【帰国して発覚する強烈な依存症】

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寒さに覚悟して成田に降り立ったが恐れていたほど寒さはなかった。どうやら2月にしては暖かい日だったようだ。上野駅で電車を降り街の雑踏に紛れて歩いていると『ここは自分の居場所ではない』と強く思い始めた。街を歩くたくさんの人々、立ち並ぶ高層ビル、全てが偽りに思えた。頭の中ではお気に入りのゴーゴーバーの音楽が鳴り響き、音を捉えて弾けたように踊るIちゃんのダンスや余裕タップリ優雅に踊るTちゃんのダンスがぐるぐる回っている。ゴーゴーガールがステージに上がる時にワイをする愛らしい光景がフラッシュバックしたり、Tちゃんの喋る魅惑的なタイ語が空耳で聞こえることもあった。

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一週間休んだせいで仕事は十分に溜まっていた。が、そんな仕事に追われながら帰国後5~6日は頭の中のゴーゴーバーに完全に支配されていた。パソコンしているとつい無意識にバンコク行きの航空券を検索していた。気付くとついついTちゃんの写真を見ていた。バンコク滞在中は夢の中にいるものだと思っていたが、帰国してみると日本での日常が非現実的な偽りで夢の中のように感じられた。『嗚呼、バンコクに戻りたい…』寝ても覚めてもそれしか考えられなかった。

 

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