【フィリピン里帰り2010年夏(後編)】

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小生にとっては赤ちゃん姪っ子やお気に入りの姪っ子たちに会うのが最大の目的だったが、奥さんにとっては違う目的があった。息子の1歳の誕生日に何も出来なかったため、ここフィリピンで盛大な息子の誕生日パーティーを行うと言う。フィリピン人にとって1歳の誕生日は非常に大事なものであるらしく、並々ならぬ意気込みだ。それは日本人の常識を超えるものである。

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奥さんに1歳の誕生日はどうするつもりか聞かれた際、小生はケーキでも食べれば良いんじゃない?と答えたところ、まるで話にならないと言わんばかりに激しい叱りを受けたことがあった。まだ1歳の本人は覚えていないと思ったが、撮影した写真や動画を後から見せれば良いとのことである。以前、日本に住むフィリピン人が開いた子供の誕生日パーティーへ行った時、友人や知人を30人ほど招き飲み屋で盛大で催され、驚いたのを覚えている。彼女の誕生日パーティにかける意気込みが尋常ではないことを小生はこの滞在中に徐々に知ることになった。

プールがあるところで誕生日パーティを行うと言うのでどんな場所か疑問だったが、3日目にとあるリゾートタイプの宿泊地を見てみることになった。市街地から遠く離れた付近に何もない場所だ。ゲート近くにある大きな建物が見える。何もないこの場所にこの大きな建物は不自然に思えた。この建物の中にあるオフィスで施設を見学する許可をもらった。ゲートから伸びる直線道路を進む。だだっ広い敷地にたまにモーテルのようなドアが並ぶ建物が見えたり、ボーリング場を備えた娯楽施設が見えた。が、この娯楽施設はもう閉館となっており、工事中の場所も多い。奥には大きなプールが2つと幾つかコテージ、大きな池の周囲にボートの形をしたコテージが並んでおり、工事中のプールもあった。広大な敷地に、1~2名の作業員が見えただけで客は見当たらず寂しい雰囲気である。プール前のコテージを1つ見学させてもらう。テレビ、冷蔵庫、テーブルがある部屋、その奥に10個のベッドが並んだ部屋と20個のベッドが並んだ部屋があった。設備はどれも安っぽい。オフィスでプール付きコテージの値段を聞くと1泊4000ペソ、池の周囲にあったボート型コテージは1泊3500ペソ。4000ペソといえば8000円ほど。ただし、小生はフィリピンの物価基準を考慮してペソの額面を10倍して考えるようにしている。4000ペソなら4万円相当だ。物価基準からすると4000ペソにはそれほどの価値があると考えているが、はっきり言ってこの施設とコテージの一泊にそれほどの価値はないと思った。が、奥さんはここの施設と大きなプールを気に入ったようだった。そもそも奥さんのために催すパーティのようなものなので彼女が気に入れば万事OKである。4000ペソ払って予約した。なお、Dipolog(ディポログ)には芸能人も訪れるような1泊5000ペソの豪華リゾートがあるらしい。Zamboanga(サンボアンガ)からは車で9時間とのこと。機会があれば一度行ってみたいものである。

5日目に予約したバースデーパーティーに向けて着々と準備を進めていくわけだが、色々と購入した物から当地の物価基準を確認してみよう。
Cokeの8オンス(約240ml)瓶は8ペソ(約16円)なので80円相当
Cokeの24瓶の1ケースは約200ペソ(約400円)なので2000円相当
ビールの24瓶の1ケースは約500ペソ(約1000円)なので5000円相当
なお、小生らはBirthday Party用に上記のCokeのケースを2つ、ビールのケースを2つ購入。
たくさん料理を作るので豚1頭を購入、4500ペソ(約9000円)なので4.5万円相当
パンデサールは1個2ペソ(約4円)なので20円相当
ウォーターディスペンサー用の3ガロンの水は1つ25ペソ(約50円)なので250円相当
料理用の食材などをスーパーや市場で大量購入、約4500ペソ(約9000円)なので4.5万円相当

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誕生日ケーキは、そのベーカリーで一番大きなものを前日に予約した。3100ペソ(約6200円)なので3.1万円相当。当日、実物を目の当たりにして驚いた。大人が二人がかりでないと持てないような3段の巨大ケーキだった。奥さんの誕生日パーティーにかける意気込みに小生が圧倒される様子が少しでも伝わると幸いである。フィリピンのビジネスは華僑に占拠されていると言われるが、こんな地方都市のサンボアンガでもそんな片鱗を見ることが出来る。都心部で立ち並ぶ店に入るとオーナーが中華系であることが珍しくない。小生らがケーキを買ったベーカリーも中華系である。いつもオーナーらしき初老の男性とその息子と思われる男性がキャッシャーを担当していた。このベーカリーは常に客で賑わっており成功しているように思った。ここはイートインの喫茶コーナーを併設したり、ケーキを販売すると同時にパーティ用の飾りつけやグッズを扱ったり、そんな商売上手なところが華僑らしいと思った。小生らもここでパーティハットや飾りつけを購入した。

サンボアンガでは2本の映画を観た。日本のテレビCMで気になった『SALT(ソルト)』とシルヴェスター・スタローンの『The Expendables(エクスペンダブルズ)』である。『The Expendables』の日本公開は奇しくも本日10月16日らしく、海外から約2ヶ月遅れの公開だ。映画館は幼児も大人も同じ料金で1人100ペソだった(映画によって多少前後する)。100ペソ(約200円)なので1000円相当といったところ。なお、10人でファーストフードに行くと1000ペソ(約2000円)ほどだから1万円相当であり、一般的なレストランに行くと2000ペソ(約4000円)ほどだから2万円相当であり、物価水準をベースに価格を考えると日本より高いように思う。色々な物の値段を見渡して、一つ明らかなことは生活に根ざした物はとても安く、逆に娯楽品や嗜好品の色が強くなるにつれてとても高くなる傾向である。そういった娯楽品やサービスは現地の物価水準からすると相当高価である。

誕生日パーティー当日、朝から料理人という隣人のおじさんを中心に男性陣が色々な料理を作っている。焚き木に火を起こして大きな鍋で手馴れた感じで様々な料理が作られていく。非常に美味そうだ。昼過ぎには街へ誕生日ケーキを取りに行った。コテージには3時に入れることになっていたが、そこはフィリピン人。計画性の無さや手際の悪さでコテージでパーティーの準備が始まったのは夕方だった。また、朝から料理してくれた隣人はもてなしが悪いと怒ってパーティーに来ることなく帰ってしまった。これまたフィリピンらしい話である。フィリピンの滞在でストレスなく過ごすコツは仕切ったり、何かを改善しようとは思わず、奥さんや彼らにまかせっきりにして何も考えないことである。でなければ、計画性や手際や配慮という点に関しては日本人の方が優れているのでイライラしてしまう。ファミリーや知人の総勢で20名ほどで誕生日パーティーは開始。巨大ケーキの周りにたくさんのプレゼントとたくさんの料理が並んでいる。華やかな飾りとたくさんの風船が誕生日パーティー会場の雰囲気を盛り上げていた。みんなはパーティーハットを被っている。さらに、その様子をビデオカメラをファミリー撮らせて、奥さんは満足げだ。誕生日ソングを歌って蝋燭を消すとクラッカーが鳴った。フィリピンでかかせないのがカラオケである。家から持ち込んだカラオケをテレビに繋ぎ、あとはカラオケを中心に盛り上がり、ビールやコーラや色々な料理を楽しんだ。久しぶりに会った甥っ子は大きくなり、わんぱく坊主になっていた。甥っ子のきらきらした瞳と笑顔は汚れた小生には眩し過ぎて気まずくなった。翌朝は子供たちのみならず大人たちもプールではしゃいで昼にコテージを後にした。

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奥さんは盛大な息子の誕生日パーティーに満足し、小生は姪っ子たちとの楽しい思い出に満足して、日本へ帰国した。

なお、最後にちょっとした夜遊び情報を一つ。小生自身は奥さんやファミリーと一緒の滞在なので、夜遊びの機会はなく、また里帰り先で超ハイリスクを冒して夜遊びする勇気もないが、ファミリーの男性陣によると、空港近くの洒落たレストランやホテルオーキッドが並ぶ通りには、娘が裸で踊っているバーが幾つかあるらしい。サンボアンガにゴーゴーバーがあるという話は聞いたことがないので、ストリップバーだろう。ちなみに、このときホテルオーキッドは10階建てほどのビルを増改築中だった。

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(左上:Zamboanga Freeportのプール)
(右上:誕生日パーティの料理)
(左下:誕生日パーティの料理)
(右下:パーティの残り物を食べる子犬たち)
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