タラップを下りて歩いてターミナルへ入った。すぐ左手にビザを申請するカウンターがあった。機内で書いておいた申請書とパスポート、それに20ドルを手渡す。長いカウンターの向こうには多数の役人もしくは軍人らしき人員が控えていたが、実際はこんなに大勢は不要だろう。小生のパスポートは手渡しでカウンターの向こう側の端へ移動していく。ある人はパラパラっとパスポートをめくったり、ある人はスタンプを押したりしている。カンボジアで最初に見たのは、いかにも役所らしい機械的な光景だった。カウンターには立派な身なりをした10人ほどが座っていたが、流れてくるパスポートを面倒そうに隣に手渡している。その様子を見て、思わず笑いそうになった。ものの2~3分でビザが取れた。その後、入国審査とターンテーブルを抜けて、外に出た。案内所にタクシーやバイタクなど移動手段によってホテルまでの移動料金が定価で書いてあった。一番安いのがバイタクでホテルまで2ドルだった。
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競争が激しいせいだろう、シェムリアップは値段の割りに良いホテルが泊まれるので、今回は少しランクが良いホテルを予約しておいた。agodaで4つ星表示のホテル「Royal Bay Inn Angkor Resort」である。口コミ情報によると、同レベルの大型ホテルは団体客が多いらしいので、静かで落ち着いた滞在ができそうなこのホテルを選んだ。4つ星といっても税やサービス料込み、朝食込みで1泊4,000円以下である。結論から言うと、価格以上に満足度の高い滞在で、リゾート気分を味あわせてくれたホテルだった。
空港からホテルまで15分ほどで到着した。バイタクのドライバーの提案で夕陽を見に行くことにした。ホテルを出発し、アンコールトム近くの丘へ向かった。16:40以降なら無料で行けるとドライバーが言っていた通り、途中のチケットのチェックポイントでは「チケットカウンターがもう閉まったので行って良いよ」と言われ無料で通過できた。アンコールトム近くのプノン・バケン(Phnom Bakheng)に到着。夕陽を見るスポットとして有名で、多数の観光客やら土産屋で賑わっている。
プノン・バケン山を10分ほど登ると、山頂の遺跡に到着した。ここで小生の想像を超える人混みを目の当たりにした。遺跡の高台部分にぎっしり観光客が満載されていたのである。シェムリアップの雨季である9月に小生が訪れた理由は、日本の雨季のように雨が降り続けるようなことはないことと、観光シーズンには世界中から大挙して観光客が訪れるのに対して雨季は人が少なくゆっくり回れることである。しかし、アンコールトム付近といい、プノン・バケンといい、予想以上に観光客が多い。西洋人はもちろん、特に邦人、韓国人、中国人といったアジア人が多い印象である。人混みの中、間近に迫った夕焼けを待った。上空には雲一つ無く、この雨季のシーズンに運良く夕陽が拝めるかと思った。が、地上付近には雲が多く、太陽は雲の中を落ちていった。
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ホテルに戻りバイタクに4ドルを払った。さあ、日も暮れたし夜の街を探索しようと、最も賑わっているオールド・マーケットやパブストリート周辺に向けて歩き始めた。ホテル前の静かな脇道から大通りのシヴァタ通りに出た。思ったよりずっと大きな通りに驚いたと同時に、交通量や人通りは少なくのどかな雰囲気で、地方都市というよりは世界的に有名な遺跡がたまたま近くにある地方の街なんだなと思った。ただ、高級ホテルからゲストハウス、大型から小型までありとあらゆるホテルが乱立しており、田舎っぽさと観光に特化した風景が混在しており不思議な街である。歩いていると、バイタクやトゥクトゥクの「どこに行く?」「女いるか?」などの声かけがひっきりなしで、かなりうっとおしい。そして、このうるさい声かけに滞在中ずっと付き合うはめになった。
徒歩15~20分ほどでパブストリートに到着した。洒落たバーやレストランが並び、ここだけは華やかで楽しそうな場所である。オールド・マーケットの食堂でフライフィッシュのココナッツかけライス(US$2)をオーダー。珍しさとおいしさは良かったが、単調な味のせいか後半は飽きてしまい無理やり完食した。同じく注文したフルーツシェイク(US$1)、疲れた体と脳ミソが欲していたものが全て含まれていたのだろう、最高に美味過ぎて息継ぎするのを忘れて一気に飲み干してしまった。
腹が膨れたのでオールドマーケットから程近い、有名ナイトスポットの「ソクサンパレス(Sok San Palace)」へ探しに向かった。が、あるべき所には取り壊し中の建物があるだけだった。2010年3月からフン・セン首相による指示で風俗取締りの強化が始まり、プノンペンでは相当数が閉鎖となったようだが、ここシェムリアップでもその流れが確実に来ていた。一番有名だった「ソクサンパレス」が閉鎖となっていたのである。かつての栄光を当てにして、何人かのバイタクがソクサンパレス目当ての客を待機し、「良いところを紹介する」と声をかけていた。さらにソクサン通りでは3人のオカマまで獲物を待ち受けていた。小生は3人のオカマにしつこくからまれ、次第にべたべた体を触り始めた。財布の入った後ろポケットに手を伸ばしたので一喝すると、ようやく去って行った。ソクサン通りのオカマにはぜひ注意して欲しい。
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シェムリアップで発見した素晴らしいこと、それは冷えたドラフトビアが0.5ドルで飲めることである。シェムリアップで沈殿してしまうバックパッカーの気持ちが分からなくもない。安いゲストハウスはたくさんあるし、観光客が多いので色々揃っているし、暑い昼間は冷えたビールを飲み、夜もだらだらと安いビールを飲んでハッピーになれば、あっという間に数週間が経ちそうだ。小生は、パブストリートで0.5ドルのドラフトビアを2杯飲みながら、欧州サッカーをテレビ観戦し、帰路に着いた。途中でGダイアリーのマップに掲載された置屋街を歩いて探したが、それらしいものは見当たらなかった。翌日、この置屋街も閉鎖されたことをバイタクの運ちゃんより聞いた。シェムリアップ初日の夜は、風俗取締り強化の影響を直に感じたわけである。
シェムリアップ空港でのVISA取得:20ドル
バイタク(空港→ホテル):2ドル
バイタク(サンセット見物):4ドル
夕食@食堂:フライフィッシュのココナッツがけ2ドル+フルーツシェイク1ドル
パブストリートのバー:ドラフトビア0.5ドル×2+フレンチフライ2.5ドル
500mlペットボトル:0.4ドル